いま、アイにいきます


「……ごめん。せっかく綾波が逆行させてくれたのに、こんな結果になってしまって……」
「もう一度やり直したいというあなたの意志は、とても強かった」
「綾波には絶対に辛い思いをさせないって誓ったんだ! そのためならどんなことだってやってみせるって! 頑張って、ラミエルを速攻で倒して――」
「そう、おかげであの私は、『こんな時、どんな顔をすればいいのか分からないの』と言うこともなかったわ」
「……綾波と心を通じ合えなくて……シンクロ率が高すぎるせいでアスカには前以上に突っ掛かってこられて……」
「ユニゾンが上手くいかなくて、イスラフェルによるサードインパクト」
「綾波、お願いだよ! もう一度僕にチャンスを! 今度はこんな終わり方には絶対にしないからっ!」



「……確かに、違う終わり方になったわね」
「元々の世界と同じともいうけどね……」
「展開は違っているわ。細部に限れば」
「……僕の手でトウジを助けようとしたんだ。でもバルディエルが強すぎて結局ダミーを使われて……」
「セカンドを助けようにも、初号機は出撃させてもらえないまま」
「アルミサエルをどうやって倒せばいいのか分からないでいるうちに、やっぱり綾波が自爆……。せめてカヲル君だけはと思ったのに、リリスに飛び込もうとするのを止めようとして、はずみで……グシャッと……」
「量産機を倒そうとはしたわね。一応」
「うん……ベークライトで固められていて乗れなかったけど……。右往左往している間にミサトさんも死んじゃうし……」
「……もう一度、戻る?」



「……早かったわね」
「いっそ全てをぶちまければ、父さんは補完をやめてくれるかなと思ったんだ……」
「『電波はいらん、帰れ』で終わってしまったわね」



「今度は自分から帰ってきたわね……」
「だってトウジとケンスケをこの手で……。吹き飛ばされ方が前とちょっと違っていただけなのに……ううっ……」



「…………」
「……サハクィエルがあんなところに落ちてくるなんて聞いてない……」



「……碇君」
「アラエルの精神攻撃でねぇ、これまでの日々が走馬灯のようにねぇ……あはははははは……」



「碇君」
「そもそも僕なんかが運命を変えようなんて大それたことを考えたのが間違いだったんだよねごめんなさいだからもうこの紅い世界で生きていくのでいいですお願いします」


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