Dog&Cat アスカ&カヲル&レイ
僕の大事なひとだから シンジ&ゲンドウ
彼女について語れるたった一つのこと シンジ
onlooker ヒカリ
どれだけキミを愛しても アスカ
Precious delicious(PSP版) カヲアス
脇役的少女漫画道 アスカ&シンジ&ヒカリ

Dog&Cat

 エヴァとは何なのか、ネルフは本当にただの対使徒組織なのか――
 私は絶対に調べ出してやる。惣流・アスカ・ラングレーの名にかけて!

 まずは深夜のネルフ本部に潜入。とりあえずミサトの端末を使って情報を引き出そう。
 ふんふん、こうなってるのね……って、やばい、誰か来た!

「やあ、こんばんは」

 ……フィフス。
 警備員じゃなくてよかったと言うべきか、それより遥かに謎な訪問者に対してどうしようと言うべきか……。

「眠れないのかい?」

 どこの世界に、眠れないからとネルフ本部に潜入してくる女子中学生がいるのかと。
 私の目的を追及するでもなく、フィフスは世間話だけして帰っていった。ったく、相変わらずすっとぼけた奴だわ。
 さて、邪魔者がいなくなったことだし、あらためてハッキングを……って、嘘っ!? また誰か来た!?

「偶然ね」

 ……フィフスはまだ分かる。
 でも、この夜中にどこをどうほっつき歩いてんのよ、ファーストはっ!?(人のこと言えないだろうという指摘は無視)
 そしてこいつも世間話だけして帰っていった。もう、私も帰ろう……。

   *

 気を取り直して翌日。今度こそネルフの謎に迫るわ!
 さーて、昨日途中までしか見られなかった情報を……って、外から足音が!

「やあ、また会ったね」
「……やけにあんたの顔を見るわね」

 作り笑顔が思い切り引きつっているのが自分でも分かる。何の用よ、フィフス!?

「今の気分はどう?」

 なめとんかい。
 フィフスが帰っていっても、私はすぐに作業を再開する気にはなれなかった。……嫌な予感がする。
 そしてその予感はすぐに当たった。

「ここで、何をしているの?」

 絶対分かってて言ってんでしょ、ファースト。

   *

 それからも二人は毎晩毎晩やってきては、世間話をしたり、私をじーっと眺めたりして帰っていく。
 ハッキングを阻止したいわけじゃなくて、単に私と話がしたいだけなんだってことはさすがに分かった。
 どうせなら手伝ってくれればいいのに。役に立たないんだから。

 情報収集は全然進んでいない。多分これからも進まない。
 それが分かっていても、私は今夜もネルフ本部へ向かう。

 さーて、と。
 銀の毛皮のポチと、空色の毛皮のタマ。今夜はどっちが先に来るかしらね。

 この時のカヲルとレイのイメージが、私の中に深く根付いています(笑)。

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僕の大事なひとだから

 カヲル君は僕達と一緒に生きると言ってくれた。
 使徒だろうと何だろうと関係ない。一緒に生きていこうね。

「確認したいことがある。今、何がしたい気分か」

 珍しく父さんの方から僕に話し掛けてきた。

「友達を、大事にしたい気分なんだ」
「そうか、礼を言う」

 ……そこでおもむろにカヲル君を見つめ出さないでよ、父さん。
 「やっぱりあいつ、消しとくか」なんて考えてたら怒るよ?

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彼女について語れるたった一つのこと

「ねえ、碇君。アスカと仲良くして!」

 委員長にいきなりそんなことを言われた。

「あんなにいい子なのに、碇君はアスカの事避けてばかりなんだもん。一緒に暮らしてるって言うのに、おかしな話だわ」

 避けてるつもりはないけど……でも、確かに仲良くはないかも。
 お願いね、と念押しする委員長。よっぽど気になるんだな。いい子だなぁ……。
 よし、委員長のためにも頑張ろう。

 とは言っても。
 何せ僕だから、そう上手くいくわけなくて……。

「碇君、アスカとは仲良くしてくれてる?」
「あー、いや、うー……」

 当然のごとく怒られた。

「アスカ、碇君に嫌われているって思っているわよ。碇君は嫌いじゃないんでしょ? だったら、仲良くしてあげなさいよ」

 うん、嫌いじゃないけどさ。何て言うか、こう……

「セカンドは、どんな人なの?」

 綾波にもそんなことを聞かれ、あらためて僕は考える。
 そう、アスカは――

「普通の人だよ」

 可愛いとか優しいとか言えよ、僕……。
 委員長が怒るわけだ……。

 ちなみにアスカの方はシンジに惚れていました。最低だ、このシンジ。

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Onlooker

 碇君が街を出た。
 元いたところへ帰っていった。
 ここでの生活に、自分の立場に、どうしても馴染めなかったらしい。
 私も彼の、疲れたような顔しか知らない。

 使徒という怪物とは、アスカと綾波さんで戦っている。
 私一人でも大丈夫なくらいよ――アスカはいつもそう言って笑っている。
 怪我をして、入院した後でも。

 私達がシェルターに避難するたびに、二人の入院日数は延びていった。
 一週間、十日、二週間――
 見舞いの許可も下りなかった。
 先生達は二人の出欠を授業ごとに取らなくなった。

 顔を見ると「久しぶり」と言いたくなる。
 青白い頬が気になって、正視するのが辛い。
 私はちゃんと、笑えている?

 空席はどんどん増えていく。
 先生も生徒も、授業に身が入らない。
 終わりが近いことはみんな感じていた。

 市民の完全疎開が決まった時も、二人の姿はクラスになかった。

 もっとアスカを、色々な店に連れて行けばよかった。
 もっと綾波さんと、話をしてみればよかった。

 一度だけ校舎を振り返る。
 多分もう、ここで授業を受けることはない。
 二人に会うことも、多分ない。

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どれだけキミを愛しても

 ファーストが好き。
 ガラス細工みたいに綺麗で可愛くて、大好き。

 背中を見つめるだけでドキドキする。話し掛けられると嬉しくて舞い上がってしまう。
 線の細さが心配だから「体調はどう?」と尋ねるのを日課にした。初めは返事もそっけなかったけど、最近はちゃんと答えてくれる。

 そうこうしているうちに、顔を合わせるたびファーストの方から話し掛けてくれるようになった。
 私が聞き役に回ってしまうくらい、たくさん、たくさん話してくれる。
 嬉しい。嬉しい嬉しい嬉しい。
 ファーストならいつでも大歓迎! 夜中だろうと朝方だろうと、遊びに来てくれたら眠気も吹き飛ばして中に入れるわ!
 ……相田? 鈴原? あんた達に跨がせる敷居なんてないわっ!! とっとと帰れっ!!

 ファーストは可愛い。しかも、私があげた手鏡やぬいぐるみや枕のせいか、めっきり社交的になった。
 当然、男どもが放っておかない。
 何を家まで上がりこんでるのよ、フィフスに鈴原!! あぁ〜、マシンガンでも持って乗り込んでやりたいっ!!
 ファーストの視線を遮るんじゃないわよ、バカ司令!! どっか行きなさいよ、このロリコンっ!!
 そのバカ息子も入院するな!! あんたがいないとファーストが訪ねてこない仕様なんだから、根性で退院してきなさいっ!!
 ゼエゼエ……え? 何、ファースト?

「私からのプレゼント。受け取ってくれる?」

 ……指輪。
 ファーストが、私に、指輪。

 ……誰かから貰った物の横流しなんてことは絶対ないわ!! これはきっとファーストが私のために選んだ指輪!!
 ファーストの愛は私のものよーーーっ!!



 でも、それはそれで。
 独占欲ってものが出てきて。



 青葉さんを見つめたりなんかしないでよ、フィフスと話し込んだりなんかしないでよ、副司令に笑いかけたりなんかしないでよ。
 バカファースト! 鈍感ファースト!

「怒ったのね……ごめんなさい……」

 私が怒ってる理由も分かってないくせに謝らないでよ! 見つめてきたって許さないんだから!
 ファーストは悲しげに顔を曇らせる。それでも私の感情は静まらなくて、次の日も一切口を利かなかった。



 そんな事情はお構いなしに使徒はやってくる。
 私とシンジが後衛で、ファーストは前線で様子見という配置になった。

 使徒の動きが速い。これはあっという間に市街地まで来そうだと、私はビルの隙間を縫って移動を始める。
 意外にも零号機が、使徒に引き離されることなく食らい付いていった。
 ちょっと、何やってんのよ……。使徒を一人で倒せるのは、この私くらいなものなのよ? いいからそこらで止まっていなさいよ。
 ねぇ、電源ケーブルを切ってまで追い掛けないでよ……。あんたじゃ無理なんだから。絶対倒せやしないんだから。
 接近戦は避けろって言われたでしょ? 一人で接近戦挑んで勝てるわけないでしょ? ねぇ。ねぇってば。

「くっ……何かが、私の中に入ってくる……」

 侵食型の……使徒? 何それ。聞いてない。生体部分を侵食って何?
 ねぇ。とにかく、今私がそっちに行くから待ってなさいよ。今行くから。恨み言は脇に置いとくから。
 ミサトもリツコさんもうるさい。ゴチャゴチャ言わないでよ。
 聞こえない聞こえない。何も聞こえない。「機体の自爆をもって」「使徒殲滅が最優先」「あの子は助からない 」私には何も聞こえない。
 ねぇ。今行くから。助けるから。私が絶対助けるから。ねぇ。ファースト。ファースト……

 目の前で、零号機が爆発した。


   *


 生き……てる……?

 まさか。嘘。だって私、見たのよ? あの爆発を間近で見たのよ?
 でも……本当なの? 本当だったら……何でこうもピンピンしてるの……?

「私は多分、三人目だと思うから」

 サンニンメ。意味は分からないけど、一つだけ分かる。

 これは――ファーストじゃない。

 私の横を素通りするなんてあり得ない。私に話し掛けないなんてあり得ない。
 このファーストは、ファーストじゃない。
 ファーストじゃ、ない……。
 ファーストが……いない……。



 それから何をどうしたのか、よく覚えてない。
 ただ、ファーストじゃないファーストの後をついて回っていたような気がする。
 ファーストじゃないファーストが、私に話し掛けてきたことはなかったと思った。

 いつの間にか場所は学校に変わっていて。しっかりしてよ、とヒカリに怒られた。しっかり、って何だっけ? 私、どうかしたんだっけ?
 ファーストじゃないファーストは、相田や鈴原と話していた。ファーストじゃないのにファーストみたいに。
 気が付くと目の前にフィフスが立っていた。あぁ、あんたは分かってるわよね? あの爆発を知ってるものね。
 あのファーストはファーストじゃないって分かってるわよね?
 今までいたファーストはここに……いなくて……。
 ファースト、は……爆発……で……。
 声にもならないような細い音が私の口から出る。フィフスが一歩、私に近付いた。

「甘えてくれていいよ。その方が僕も嬉しい」

 私の中の堤防が壊れる。何かがドッと溢れて、流れ出た。

 ……ファーストはいない。
 あのファーストはもう、どこにもいない。
 爆発で死んだ。いなくなった。もうどこにもいない。もう会えない。
 死んだ。死んだ。ファーストは。死んだ。死んだ。ファーストは死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。
 死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ死んだんだ――!!

 大声で泣いた。喉も目も潰れてしまうくらいに泣いた。
 フィフスがずっと、胸を貸してくれた。



 ――まずは体力を回復しよう。
 別れ際にフィフスから言われて初めて気付く。そういえばしばらく何も食べてなかった。髪もボサボサ。
 お風呂に入って、ご飯を食べて。人心地ついたような感じがした。確かに私、普通じゃなかったんだ。
 そして今頃になって自己嫌悪が込み上げてくる。恥ずかしい真似をした。よりによってフィフスを相手に。
 だって私、分かってた。ファーストを盗られたくなくて牽制しまくってたけど、実際にあいつが好きなのはファーストじゃなくて私なんだって。
 分かってて邪険にあしらってきた。
 そのくせ都合のいい時だけ甘えさせてもらった。
 ヤな女……。

 それでも……おかげで少し救われたから。
 明日、ちょっとは元気になれた顔を見せに行こう。
 ファーストじゃないファーストに会うのは辛いけど、あいつになら会ってもいい。
 明日、会いに行こう。
 明日。





 その夜のうちに使徒が現れて殲滅された。

 使徒の名前は、渚カヲルといった。





 私はパイロットを辞めた。第三新東京市からも出て行った。
 加持さんもミサトもヒカリもシンジもどうでもいい。

 ――世界がどうなろうと、知ったことか。


 実に綺麗な鬱コンボでした(苦笑)。
 レイ爆死の瞬間、アスカのシンクロ率が20%も下がりました。これほどの暴落を見たのは初めてで、PC→レイの評価の高低で下落幅も上下するらしいと新発見。
 そしてタブリス出現のタイミングも庵野AIに演出されてるんじゃないかと思う今日この頃です。


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Precious delicious

「いらないよ。そんなもの欲しくないし」

 和やかに進んでいたと思っていた会話が、急に凍った。
 プレゼントだと言って私が差し出した物を、フィフスは眉を顰めて断った。
 数瞬の間、私の頭の中で時が止まる。

「そんな事言わないで、ありがたく受け取りなさいよ!」

 ようやく吐き出した声も無情に砕かれる。

「欲しくないよ。もう捨てたらいいじゃないか」

 そこまで言う!? 悔しさと情けなさに手をぎゅっと握り締め、拒絶し返してやるように背を向けた。

 フィフスチルドレン。私の存在を脅かしかねない、憎たらしいライバル。
 でも話してみたら結構いい奴で。何となく、一緒にいるのが楽しくなって。
 向こうもそうだと思ってた。

 ……ただの私の勘違いだったわけだ。

 情熱の精神とかいう名前で売られていた、気になる人ともっと近い関係になれるっていうお守り。相手に持たせると効果大だって。
 こんな物をつい買っちゃった自分が馬鹿らしくて惨めだった。
 もう見たくもない。帰りに捨てちゃおう。

「セカンド」

 背中に声が掛けられる。
 今になって謝ろうったって遅いのよ! あんたなんか――

 振り向いたすぐ先にフィフスの顔があった。
 驚いて反応出来ないでいる間に、唇に唇で触れられる。

 ゆっくりとした動作で私から離れると、フィフスは気障ったらしい笑顔でぬけぬけと言ってきた。

「僕は物より、君自身のぬくもりの方が欲しいな」

 ――ムカつく。
 ときめいてしまった自分がムカつく。

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脇役的少女漫画道

 放課後ヒカリと雑談していたら、急に真面目な顔でこんなことを言われた。

「今後の碇君のことが心配だって伝えて」

 あのバカ! ヒカリに気遣われるような何をしでかしたってのよ!
 ちゃんと伝えてはみたけど、シンジは真面目に受け取ったのかどうなのか分からない様子。ったく、すっとぼけてんじゃないわよ。またヒカリに心配かけたらただじゃおかないわよ!
 とヤキモキしていたら、今度はシンジが私に頼み事をしてきた。

「委員長に伝えてほしいんだ。僕が委員長のこと、気になるって」

 ……いいけど、さ。何? あんた達ひそかにそんな関係になってたの?
 それからしばらく経った頃、またヒカリが私に伝言を頼んできた。

「碇君のこと、好きだよって……」

 ……何、この順序だった恋愛の進展具合。
 私は歴史の目撃者? 名バイプレイヤー? アシスト賞?

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