こんな場合でも一人座っているほど厚顔無恥ではなく、私は窓辺に立ったまま語った。それでも時に、窓の外へと視線を逃がしてしまったが。
 唇をきつく噛み締め、拳を小刻みに震わせながら彼女は私の話を聞く。
 リツコ君と加持リョウジが少し離れた位置から彼女を見つめ、あるいは瞳をそっと伏せる。

 セカンドインパクトの真相。
 私の口から葛城君に告げることは、避けてはならない義務だった。
 冬月も現在別の場所で、語るべきことを語っている。

「……以上が、あの日に起きた出来事だ」

 公務室が重い沈黙に包まれる。葛城君は両手を固く握り締めて俯いている。真一文字に引き結ばれた口元だけが、私に見える彼女の表情。

「詫びるにはあまりに遅すぎるだろうし、その後世界を襲った災厄を思えば私の謝罪など塵にも劣る価値しかないのだろうが、それでも君には詫びておきたい。……すまなかった、葛城君」

 身動き一つ彼女はしない。
 代わりに慰めや同情や非難を述べようとする者もいない。何年も前から真実を知っていたリツコ君も、先日知るに及んだ加持リョウジも、おそらくは様々な思いを抱えながらも言葉を挟もうとはしない。葛城ミサトという一人の女性の友人として、彼女の心中で荒れ狂っている波風がいずれかの方向へ定まる時をじっと待っている。

「……口先だけで全て済ませるおつもりですか?」

 ようやく上げられた顔に浮かぶ表情も発せられた声も、むしろ静かなくらいだった。

「勿論そんなつもりは毛頭ない。……殺されても文句は言えないだろう」
「馬鹿にしないでください」

 強い語気と鋭い眼光が私を圧する。

「父親を亡くした子供を、私がつくりたがるとお思いですか?」

 返す言葉もなく頭を垂れる。
 私の耳にも届くくらいに、大きく葛城君は息をついた。

「……殴らせてください。それを一つの区切りとします」
「分かった」

 苦笑いを浮かべる加持リョウジ、肩を竦めて軽く嘆息するリツコ君。そんな様子を目に留めながら、殴られやすいように前に出てサングラスも外す。葛城君はきつく私を睨み据える。あらためてその眼差しを間近で受け止めてから、目を瞑り歯を食いしばって殴打に備えた。
 だが衝撃はすぐには訪れなかった。代わりに何やら慌てたような気配と、微かな足運びの音が伝わってくる。当惑を抑えかねて薄目を開け、次いで見開く。

 待てっ、助走は反則――







 ……昏倒して全治二週間の怪我を負ったあの日より、三ヶ月が経過した。







贖罪 〜彼の歩む道〜

epilogue





 ネルフは名実共に国連の統制下に入った。エヴァは全て地球上から消え、ロンギヌスの槍も初号機が携えていったが、アダムとリリスは残っている。その管理及び保有技術の平和的活用を目的とした組織への再編途上にある。
 セカンドインパクトや人類補完計画に対する責任を追及する声も上がったが、立ち消えとなった。ゼーレの権勢は衰えたとはいえ、彼らを吊るし上げれば各方面にとって都合の悪い事実も露呈してしまう。それを恐れたのだ。私も現状維持ということで、差し当たっては放置されている。
 公明さが常に歓迎されるとは限らない。ようやく地獄から立ち直りつつある世界に、今になって真実という爆弾を投下したところで、果たして混乱を上回るほどの救いがもたらされるのか。当人の自己満足以上の意味を得られるのか。
 判断がつかず、黙殺を私は黙殺した。
 葛城君も表立って糾弾することなくネルフを去った。今は、セカンドインパクトからの復興が立ち遅れている地域を支援する民間組織に身を置いている。その組織に匿名で寄付をした。金次第で解決出来る問題は多々ある。私の口座に収まっているよりは有益な使われ方をするだろう。
 加持リョウジも前後してネルフを離れ、こちらは国連の調停機関の一員となって紛争地帯で働いている。
 全く違う場所で活動する二人。結婚しないのだろうかとリツコ君に尋ねたところ、「半分恋人、半分腐れ縁みたいなものですからね。どうなることか」との答えが返ってきた。
 なお、葛城君は今も心霊現象に悩まされているらしい。

 セカンドチルドレンはドイツに帰国した。私のもとへ挨拶に来た際、帰ったら父や義母と一度きちんと向き合ってみたいと語っていたが、その結果どうなったかは定かでない。ただ、レイは楽しげにメールの遣り取りを続けているし、たまに私にも見せてくれる写真からすると、元気でやってはいるようだ。

 出て行く人間がいれば入ってくる人間もいる。私自身の仕事は相変わらず会議で飛び回るか決裁印を押しまくるかで、今日も机に山と積まれた書類に溜息を零しているが、ネルフという組織は確実に変化していた。
 制限付きながらも情報公開と技術交流を始めたことで、各国政府機関から人員が派遣されてくる。機械工学や医学、生物工学といった分野の発展が期待されており、いずれも貪欲に知識の修得に努めている。
 今までの閉鎖性から開放に転じた空気は職員の意識にも少なからず影響を与えた。その象徴が来月開催予定の、部局横断の大交流会だろう。
 名称の上では交流会。しかし実質はお見合いパーティー。世界の危機を退けてやれやれと周囲を見回したら急に職場の平均年齢と未婚率が気になり始め、誰かの冗談交じりの発案に思いがけず大勢が飛び付いた――という経緯らしい。他国からの若手派遣員まで興味を示し、現時点で参加希望者は百人を超えたと聞く。実際に結婚まで漕ぎ着けるカップルが何組誕生するかは別として、職員の親睦が深まる分には我々上層部としても喜ばしい。こういう企画があってもいいだろう。逆に泥沼の人間関係に発展しないことを祈る。

 失礼します、とリツコ君が入ってきた。その手に抱えられた物を見た途端逃げ出したい衝動に駆られる私の気持ちなどおかまいなしに、ドサッと書類が机の上に追加される。

「こちらとこちらは、問題がなければ急ぎ承認をいただきたく存じます。終わるまでお待ちいたしますので、疑問点がありましたらお尋ねください」
「了解した……」

 丁重だが有無を言わせない口調。泣く泣く分厚い束を手に取る。
 暇潰しに外でも眺めるつもりだろう、リツコ君は窓辺に歩み寄る。外は好天。私もこんな仕事など投げ打って日の光を浴びに行きたくなる。冬月のように山歩きまでする気はないが。
 スイス出張の折にアルプスに足を向けたのをきっかけに、登山熱が再燃した冬月。元諜報二課長らとともに愛好会を結成し、あちこちに出掛けるようになった。年齢やブランクを考慮して無理のない範囲で体を鍛え、当面は富士登頂が目標なのだという。おかげで各地への出張を押し付けやすくなったのはいいが、その分私に回ってくる書類仕事が増えたのは痛し痒しか……。
 いつしか本格的に外を見ていた。リツコ君の咳払いを受けて、慌てて視線を紙の上に戻す。さすがに彼女の前ではサボりたいとは愚痴でも言えない。
 この三ヶ月、最も多忙を極めたのはリツコ君だった。技術開発部門のトップとして、情報公開にも技術交流にも深く関わってきたのだから。そして勿論、残された神々に対しても――。

 アダムとリリスの存在はこれまで以上に多くの人間の知るところとなった。勿論危ういことではあるが、半面、互いに監視し合い、牽制し合って暴走を抑止する効果も期待出来る。新たなエヴァの製造に関しても然り。他国の目を盗んで一部国家だけが着手することは容易ではないだろう。もっとも、莫大な費用がかかる割にコストパフォーマンスの極めて悪い兵器など、どの国ももう欲しがらないかもしれないが。
 最後の使徒であるアダム渚の処遇を巡っては、当然ながら大いに揉めた。しかし人類に敵対する意思はない、だからこそサードインパクトを起こそうと思えば起こせたのにやらなかったのだと本人が主張した上に、むしろキール・ローレンツらの野望に利用されたのだという証拠の音声まで提出したため――自作自演もいいところだが――ひとまず殲滅は見送られた。貴重な研究対象という理由もある。
 アダムにリリスに使徒。いずれも研究者にとっては魅力的な素材。しかしロンギヌスの槍が失われた以上、ヒトは安易には手が出せない。サードインパクトを望む者にしても、意のままには事を起こせない。かつての私のようにアダムとリリスの融合を試みる者が現れたとしても、今はどちらの魂も留守だ。
 ヒトだけの力では、機嫌を窺いながら慎重に慎重を重ねた実験を試みるくらいが関の山。アダム渚も非常勤職員待遇で時々実験に協力はするが、基本的には一人暮らしの学生として悠々自適な生活を送っている。何の因果か保護者は私だ。
 そしてリリスの魂の所在は掴まれていない。

 何十年後かにはおそらくアダムもリリスも本来の肉体に戻ることだろう。
 その時こそ自らの意思で眠りに就くのかもしれない。

「済んだぞ。持っていきたまえ」
「ありがとうございます。残りの報告書や計画案も、なるべく本日中に御覧いただけますようお願いいたします。明日以降では問題が露呈しても対処が遅れてしまいますので」

 机の前まで戻ってきて受け取りながらも、リツコ君は慇懃な念押しも忘れなかった。承知している、と重々しく頷いてみせる。

「呼び戻さないでくださいね?」
「善処しよう」

 ようやくまとまった休暇を取る余裕が生まれ、明日から彼女は一週間の予定で帰省する。
 それから、と続いた声は一転して柔らかさを帯びていた。

「レイの定期検査の結果が出ました。この推移なら、三年もあれば無事成熟を迎えられそうです」
「そうか」

 私の口元も自然と綻ぶ。
 レイは子供を持てる。人間の女性と変わらない営みが出来るのだ。

「君のおかげだ。随分苦労をかけた」
「全くです」

 ここぞとばかりに目一杯力を込められる。

「お祖母さまとゆっくり過ごしてくるといい」
「はい」
「それから君自身のことも一度じっくり考えてみるといい」
「はい?」

 きょとんとした瞬き。疲労こそ覗くが健康的な眼差し。
 業という闇に呑み込まれてはいない彼女。

「……君には幸せになってもらいたい」

 ――私が汚し、最後には命さえ奪ったあの彼女の分まで。そしてナオコ君の分まで。
 最初は当惑していたリツコ君もやがて真顔になり、神妙そうに考え込んで瞳を天井へ向けた。

「……別に今の状況も悪いものとは思っていませんよ? 仕事は好きですし、やり甲斐があります。上司はともかく仲間や部下には恵まれました。大切な友人もいます。妹や弟のような存在も」
「うむ……」

 逆に私は下を向く。レイもシンジも彼女を姉同然に慕っている。それは間違いない。引き離すつもりも毛頭ない。
 だが君は君自身の家族を――と言おうとして顔を上げると、真っ向から視線が彼女と合う。

「それにあなたをお慕いしています」
「……は?」

 一瞬、何を言われたのか分からなかった。頭の中が白くなる。
 リツコ君は少女のように軽やかに笑い、では失礼します、と身を翻した。
 彼女の去った後もなかなか動悸が治まらない。体温も急激に上昇している。この私が完全に不意討ちを食らってしまった。
 ……不覚。







 晴れ渡った日曜日。陽光は目にも眩しく、建物に反射して地上を白く輝かせる。アサガオは空の青さに張り合うように赤紫の花弁を凛と広げる。
 こんな日はエアコンの効いた室内でだらだらと過ごすに限る。
 ……と言いたいところだったが、シンジが許してくれなかった。昼食後、ベランダの窓拭きを命じられてしまう。これなら買い物にでも行けばよかったかと後悔したが後の祭り。シンジは床のワックス掛けに、レイは洗面所の徹底掃除にそれぞれ取り組み始めてしまい、やむなく私も外に出てガラスと向き合う。書斎で優雅にラジオを楽しむリリスレイが妬ましい。
 休日とあって建築現場の音は聞こえてこない。代わりに車の行き交う音と歩行者のさざめきが届く。斜向かいのマンションには引っ越しのトラックが二台止まっていた。
 一時は無人都市と化した第3新東京市。しかし現在は人口が増加の一途を辿っている。疎開先から戻ってきた者の他にも職を求めて流入してきた者、需要を見越して移転してきた業者など内訳は様々だが、街全体が息を吹き返したかのようだった。零号機の自爆で抉り取られた土地の分は、高層建築が受け皿として建ち並んでいく。
 第壱中学校も再開され、シンジとレイは三年に進級した。多くの学友が戻ってきたことを喜ぶ一方で、落ち着かないとも苦笑する。何せ毎週各クラスに転入生が来るような有り様だ。腰を据える暇がない。気が付けば委員会の人数配分に偏りが生じていたり、部活動ではレギュラー選びが難航していたりという問題も持ち上がっているらしい。どこにも所属していない二人はあちこちから遊軍的に手伝いを頼まれるそうで、せっかくパイロット業務からは解放されたのに慌ただしさは大して変わりないように見受けられる。今日も午前中は学校へ出掛けていた。
 しかし忙しい、忙しいとぼやきつつも充実した学生生活を送っていることは、顔の輝き具合が示していた。

「父さん、拭き残しがあるよ。ほらそこ、左上」
「ああ……」

 口うるささは相も変わらず。そっと溜息をついて窓拭き用のモップをバケツの水に漬け、指摘された箇所へと伸ばす。飛び散った水滴が日差しを受けて虹色に光った。あの日の海を思い出す。
 シンジとレイと並んで見た海。期待していた通りに美しかった。弁当もとても美味かった。
 だが魚は一匹も釣れなかった上に、暑かったし急な雨にも見舞われたしで散々だった。やはりアウトドアは私に向かない。インドアな趣味を見つけるとしよう。そのうちに。

「父さん、そっちの隅も汚れてるよ。手抜きしないでキリキリ働く!」

 ……掃除の必要のない趣味にしよう、うむ。





 掃除が終わるとリビングでお茶の時間となった。ソファーで寛ぎ、コーヒーや紅茶やクッキーで一服する。テレビのチャンネルは順に替えられ、シンジとレイの協議の結果、グルメ番組に落ち着いた。
 何ということもない休日の午後。だがもう戦闘に備えることはない。シンジもレイも、ただの受験を控えた中学生。平凡で平穏なこれが日常。
 あのシンジも、どんな形であれ幸せを掴んでくれているだろうか。

 セカンドインパクトの真実を、せめて子供達には話すべきかと思う。我々が撒いた種を命懸けで刈り取らせたようなものなのだから。
 いつか……そう、大人になった頃に話すとしよう。望めば私を捨て去り、一顧だにせずとも生きていくことが可能となる頃に。
 それまでは二人の成長を楽しもう。
 まだ見たことのない未来の中で。

 気が付くと二人は肘で小突き合いを始めていた。
 喧嘩腰ではない。むしろ表情は明るい。

「やっぱりレイから言ってよ」
「駄目よ、こういうのはシンジじゃないと」

 甘ったるい語尾。やたらと恥ずかしがっているシンジ、いつも以上に満面の笑みなレイ。
 ――私の勘にピンとくるものがあった。
 口の前で両手を組み、一切を見逃すまいとの意気込みでギラギラとした視線を二人に向ける。

「――話せ」

 長年の経験が告げている。この雰囲気は間違いなくあれ……!
 案に違わず、照れくさそうに体を揺すっていたシンジはやがて上目遣いに切り出してきた。

「実は、その……父さんに報告したいことがあって……」
「うむ」

 組んだ手に力が篭る。待っていたぞ、この時を。

「えっと、何ていうか……付き合っているっていうか……そういうお知らせで……」

 更に赤らむ、しかし喜色に満ちたシンジの顔。隣でレイも嬉しげだ。
 さあ言え、言うがいい。綾波レイを愛していると――!

「洞木ヒカリさんっていうんだ」





 ……ほらき……ひか、り……?





「覚えてる? 一度会ってるわよ、おじさま。ほら、私が事故で入院している時に見舞いに来てくれた子」

 ……ああ、髪を二つに結った女子生徒だな……? だが問題にしたいのはそこではなく、何故シンジの口から出てきた名前がその娘かということで……。
 放心している私の視界にリリスレイが映り込む。ぼんやりと目を向けると、無表情に淡々と言葉を紡ぎ始めた。

       「第三使徒戦で怪我をしたのは、鈴原君ではなく彼女の妹さんだった」

 第三使徒……? スズハラとは誰だ……?

       「第四使徒戦でエントリープラグに収容されたのも、二人ではなく三人だった」

 ……よくは分からんが、つまりその頃から二人の関係は始まりつつあったのか?

       「そういうこと」

 何故もっと早くに言わなかった!? 早くに知っていれば手の打ちようも――

       「昔から言っているじゃない。私はこの子達が幸せならそれでいいって」

 ……あぁ……そういえばそうだったな……。
 くすぐったそうにしているシンジを冷やかしながら、レイは全く笑みを絶やさない。

「レイ、お前は……どうなのだ……?」

 本当にお前はこれでいいのか……?
 パッとその顔が薔薇色に染まり、もじもじ指を動かし始める。

「えーと、実は私も、ちょっといい感じになってきた人がいて……」
「そうではなく……いや、とにかく言ってみろ」
「野球部の船江君」

 それこそ誰だっ!?

「船江はいい奴だよ、いつも一生懸命で男子の間でも信頼されてて」
「練習を見ているうちに私も何かやりたくなってきたから、高校ではソフト部に入ろうかなぁ、なんて思ってるの。でもその前に受験勉強ね。頑張らないと」

 最近レイがよく一緒に野球中継を観ると思ったら……。
 二人は気恥ずかしげに、しかし何の屈託もなしに視線を交わし合っている。そうか……お前達は生半可なことでは揺るがない強固な絆で結ばれているのだな。家族愛という名の絆で……!

「それでさ、実は来週の日曜、洞木さんをうちに招待しようと思って……いや、あの、変な意味じゃなくてね! レイの友達でもあるわけだし!」
「土曜日には野球部の練習試合があるの。向こうの学校でやるんだけど、相手に負けないくらいの大応援団が欲しいんだって。私も行っていいわよね、おじさま?」

 あぁ、この期待に満ち満ちた二対の瞳を前に、私に何が言えるのか……。

「…………………………………………問題ない」

 やったー、と喜ぶ二人。お前達の幸せは私の幸せ。
 『お義父さん』と呼ばれる日を夢見て生きてきたが……いや、そうだ、レイさえよければ正式に養子縁組を結ぼう。そうすればレイは私の娘。私はレイの『お父さん』。レイの子供は私の孫。レイとシンジがそれぞれに家庭を持てば家族は倍。何だ、いいこと尽くめではないか、嬉しいことだらけではないか、素晴らしきかな人生だ! ハハハハ、フハハハハ、ハーッハッハッハッハッハッハッハッ!!




















 私は……


 どこで何を間違えたのだろう……。




















「だから一升瓶を抱えて押し掛けて来ないでくださいよ。未成年なんですからね、僕。それとアダム渚という呼び方はやめてもらいたいんですが。どこの源氏名かマジシャンかという感じじゃないですか」
「うるさい、黙れ、キールのくせに……!! リリスレイ、お前も飲めっ!!」

       「やかましいわよ、酔っ払い」





 God's in his heaven. All's right with the world.

 ...Are you happy?






 〜THE END〜

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 外伝二編はありますが本編はこれで完結です。このラストと外伝に向けて始めたような連載でしたが、何とか辿り着くことが出来ました。
 もう一度読み返していただけますと、実は裏ではこういうことになっていたのか、この台詞にはこういう意味が込められていたのか、などと新たな発見があるかもしれません。とりあえず、「投稿」について深く考えられた方はまずいないだろうと自分では思っているのですが、どうでしょう?(笑)

 テレビシリーズからもう何年も経ちましたが、ユイというキャラは未だに私には分かりません。科学者としても女性としても母親としてもあまりに超然としすぎているように感じられ、掴みどころが見つけられないのです。でもゲンドウにとってのユイ、シンジにとってのユイなら書ける気がしました。それがこの「贖罪」という話を考えた理由の一つです。
 ゲンドウもシンジもレイもリリスレイも、原作のキャラとはほとんど別人になっています。自分でも崩しすぎかなと思うこともありました(笑)。それでも「こういう過程を経れば、こういう性格になりもするかな」と納得していただけたり、「根本にあるのは確かに原作の彼、彼女だ」と感じていただけたりしたら嬉しいです。

 では、お読みくださり、ありがとうございました!





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